地震大国である日本では、度々大きな地震が発生しており、全国各地で被害が生じております。しかし、建築物においては地震のみを原因とする倒壊は減少傾向にあり、特に建築構造物に対する建築基準法の耐震設計部分の改定(1981年の新耐震設計法)以降に建設された建築物に関しては被害が比較的軽微といわれています。近年では地震に強い建築物も増えており、今後の技術革新による被害の更なる減少が期待されています。
建築物内外に設置されている建築設備においても、建築物と同様に耐震性が求められます。特に建築設備は、災害時の倒壊や損壊などを防止することで人命を保護するのはもちろんのこと、災害後も滞りなく電気、水、ガスなどを供給するライフラインの確保が重要です。災害時に活動拠点となる公的施設、救護拠点となる病院、避難所や避難拠点となる学校や大型の施設などでは特にライフラインの確保が重要視され、近年建設された重要拠点となる建築物においては、電力供給システムの二重化や受水槽への緊急遮断弁の設置など、様々な策が講じられております。
しかし、古い建築物に関しては、耐震補強などにより構造的な耐震性の確保はされているものの、建築設備の耐震性が確保されていないことも多いのが現状です。今後はライフラインを確保するための設備耐震改修が社会的に必要であると考えられ、それに伴った設備耐震診断も求められていくと思われます。
当社では、設備耐震に関係する様々な指針や基準を参考とした耐震診断を行っており、ライフラインの確保を踏まえた建築設備全般の総合的な耐震診断や、改修計画に合わせた部分的な耐震診断も可能です。建築物の耐震診断をお考えの際には、建築設備についても診断をご検討ください。
- 『建築設備耐震設計・施工指針2005-2014年版』(国土交通省国土技術政策総合研究所・独立行政法人建築研究所監修)
- 『建築設備・昇降機耐震診断基準及び改修指針1996年版』(建設省住宅局建築指導課監修)
- 『官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説平成8年版』(建設大臣官房官庁営繕部監修)
- 『官庁施設の総合耐震診断・改修基準及び同解説平成8年版』(建設大臣官房官庁営繕部監修)
地震の被害として、建物自体の亀裂及び地盤沈下が挙げられますが、建物内に設置されている設備機器においても、被害を被る場合があります。以下に地震による設備機器の被害例を紹介します。
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室外機
空冷式PAC型空調機の室外機をアンカーボルトで固定していなかったため、機器が移動しています。
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アンカーボルト
ボルトが適切にねじ込まれていないため、アンカーボルトの拡張不足がみられます。
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アンカーボルト
架台下がモルタルによりカサ上げされていたため、アンカーボルトが躯体まで届かずに埋込不足となっています。
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排水管
地盤沈下により建物と地盤との間に大きな高低差ができたため、配管が破断しています。
当社はこれまでに事務所ビル・工場・病院など、約1,000基(系統)の設備機器・配管・ダクト・ケーブルの耐震診断を行ってまいりました。設備の場合、基礎の形状、アンカーボルトの種類や本数、配管などの固定方法は、設置される場所により異なり、同一の設置状況におかれることはほとんどありません。当社では、今まで培った経験を基に最適な方法で、建築設備士、建築設備診断技術者などの資格者が診断を行います。